ビル清掃において、汚れやしみを除去するために必要な基本的知識は、大きく分けて5つあります。
①建材の知識
清掃作業に水や洗剤の使用は欠かせないので、建材の耐水性や吸水性、吸湿性、表面形状、硬度等の物理的性質や、洗剤使用時の化学的性質に関する知識が特に重要です。
②汚れの知識
汚れの種類には、水溶性や油溶性、その他の汚染物質があり、実際には、これらが混在して汚れを形成しています。
また、空気に触れて酸化する汚れは、時間の経過とともに除去しにくくなるので、長期間放置しないようにします。
③洗剤の知識
洗剤の性質や、使用上の注意点をよく理解することが重要です。また、洗剤と汚れはなじみやすく、清掃後の建材に洗剤成分が残っていると、再汚染を促進します。カーペットや石材のように吸水性のある建材では、特に注意しなければなりません。
④作業方法の知識
汚れの除去には、洗剤による化学的作用と、器具、機械による物理的作用を利用します。実際の作業では、汚れの付着状態に応じて、これらを効果的に組み合わせて活用することが必要です。
⑤保護膜の知識
弾性床材に塗布される床維持剤や、カーペット防汚材、外装金属のシール材等は、洗浄面に保護膜を形成します。保護膜は、汚れがつきにくく、付着した汚れを容易に除去でき、保護膜自体を容易に再生できるものでなければなりません。施工の状態によっては、保護膜が逆に汚れを抱き込むこともあるので注意が必要です。