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肺MAC症は浴室清掃が原因の病気?

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皆さん、お風呂場で「ピンク色」の汚れを見かけることはありませんか?
その正体は「セラチア」「ロドトルラ」と呼ばれる菌類なんです。

セラチア菌は水や土壌に広く分布し、一般家庭でもお風呂や洗面所のような湿気のある環境に存在します。石鹸に含まれる脂肪酸を好み、ピンク色のバイオフィルムを形成するので、その存在を目で確認できます。
セラチア菌は、湿度さえあればすぐに増殖します。健康な人であれば皮膚についても口に入っても病原性は示さないのですが、手術後など免疫が落ちている方やまだ免疫がついていない小さなお子さんのような抵抗力の弱い人が感染すると呼吸器や尿路等から感染して炎症を引き起こしたり、敗血症を発症したりすることもあります。

ロドトルラは酵母菌の一種で、セラチア菌同様水回りで繁殖しやすい上に、増殖スピードがとても速く、水分があれば付着してから3~4日程でピンク色が目に見えてわかるほどです。
これらのピンク色はブラシでこすると簡単に落ちるのですが、実は表面の色素が落ちただけで本体の菌は残っていることもあるそうです。

健康な人に害はないといっても、ピンク汚れが見えるということはそれだけ菌が住みやすいということ。放置すれば菌は増殖し、人体に有害な黒カビに発展する可能性があります。
黒カビが発生してしまうと清掃も大変になるので、ピンク汚れのうちにキレイに清掃することをオススメします。

それから、近年、感染者数が増え続けている肺MAC症という病気があるのですが、どうやら浴室清掃が原因ではないかといわれています。(他にもガーデニングや熱帯魚の飼育、加湿器の使用、岩盤浴、ホットヨガなども危険因子といわれてますが)MAC菌というのは、日常のいたるところにあるのですが、特に42度あたりの温度を好んで繁殖するらしいです。
お風呂場で言うと、シャワーヘッドや給油口などは、要注意で、清掃するときに、菌が混じった水を勢いよく水しぶきをあげたりすると、MAC菌がエアノゾル状態になって空気中を漂い数時間は漂い続けます。その時にそのMAC菌を吸ってしまうと、超微粒子のため、鼻や喉でとどまらずに、肺まで吸い込んでしまいます。
ただ、この菌は、さほど強力な菌ではないため、吸い込んだからすぐ発症というわけではなく、日常的に繰り返していくうちに症状が出てきて悪化していくようです。

では、どのような対策をすればよいかといえば、カビや菌が好む環境を作らないという事が肝心です。

カビや菌が好む環境は、
①皮脂汚れのようなエサがある
②温度(20度から40度あたり)
③湿気がある

ですので、
①日頃の清掃
※浴室清掃時は、目の細かいマスクを着用する
②室内を換気、乾燥させておく

ことが大切になります。